エッセイ

サツマイモ堀りと日本画体験~芋の街~埼玉県川越市にて

埼玉県川越市は芋の街

2021年10月30日。夫のツテで、サツマイモ堀り&日本画教室に、家族そろって参加してきた。

秋といえばイモ堀りじゃ~!しかも、前から気になっていた日本画の作画体験が、1人たったの500円でできるとあって密かにテンションが上がる。

10日ほど前に、島根の実家から大量のサツマイモが送られてきていて、さらにイモ堀りをした日にはアンタほんとうに消費できるのかね?と自分に問いかけつつ、秋晴れのもと、いざ川越へ。

夫と子供のイモ堀り姿を見て楽しむ

イモ掘りよりも日本画に興味深々だったワタシは、夫と子供たちがイモを掘る姿を微笑ましく眺めることに徹した。たまにスマホを取り出しては、その姿をカメラにおさめる。

一見堅そうに見える黒々としたイモ畑の土が、サラサラと夫の手から落ちていく。江戸時代から受け継いできた秘伝の土らしい。最初はしぶっていた小6の娘も、土に触れたとたんイモ堀りのとりこに。自然に触れると癒されるね。これで、ストレス性の突発性難聴も良くなるね。小学生もつらいよ。

1つの苗にくっついた5~6本のサツマイモがようやく掘り出された時、参加者の間に歓声があがる。なんという色。美しすぎて言葉を失う。1人1苗と決まっていたので、家族4人分を掘ったのち洗い場へと移動した。ざっと計算しても20本。ふむ。

初めての日本画制作

イモ掘りのオマケと勝手に思い込んでいた日本画教室だったが、フタを開けると意外と本格的で驚いた。自分たちで掘ったイモの中から写生に使うイモを1本選んで席につき、先生から日本画の背景や描き方などの説明を受ける。イモを描く色紙1つとっても、普段見慣れている白地のものから、金紙、銀紙、扇をかたどった色紙が貼られているものまである。

いよいよ作画開始。机に用意された筆を手に取り、まずは墨でイモの輪郭を描いていく。下書き無しの一発勝負。緊張するがやるしかない。目の前のイモを穴があくほど観察しながら、一筆一筆に集中する。日本画は、油絵のように顔料を重ねていく画法なので、少々失敗しても後々修正できるそう。思えば、美術展などで日本画を鑑賞する度に、どうやって描いているのだろう?と疑問でいっぱいだったワタシが、こうして日本画を描いているとは。イモを描きながら感慨にふける。

黄と紫のイモ色(顔料)は、先生があらかじめ用意してくれていたので、それを塗っては乾かし、塗っては乾かしを何度も繰り返し、日本画教室は2時間ほどで終了。色紙に描いた顔料を乾かすために使った道具はまさかのドライヤー。昔は、ドライヤーなんてなかったよね、速水御舟さん。今はドライヤーという便利なものがあるのですよ。

風呂場でサツマイモに思いをはせる

一日が終わり、風呂につかりながらその日の出来事に思いをはせる。イモ堀りも日本画教室も楽しかったな。空気も美味しかったし自然とふれあうっていいな。

大量のサツマイモどうしようかな・・・。

ふと、サツマイモがその昔保存食だったことを思い出す。そうだ。島根では、民衆が小山のふもとにイモ穴を掘り、その中にサツマイモを大量に保存していたではないか。ならば、サツマイモを急いで消費しなくてもよいではないか。翌日、ワタシは早速イモを天日干しして乾燥させておくことにした。

サツマイモは高いよ

川越で掘ったサツマイモ。シルクスイートというブランドイモだった。いつもスーパーでみかけるサツマイモは、ブランドイモだろうがノーブランドイモだろうが値段が高め。大きさにもよるが、1本あたり平均150円はするのではないか。たまに、安売りで1本98円とかで売っていると、イモ売り場の周りに人だかりができる。みんなイモ好きなのね。

で、シルクスイートの話。昨日、スーパーでたまたま見かけたシルクスイート。お値段なんと1本230円!高い。高すぎる。そして、そんなシルクスイート5~6本と、日本画教室と、小松菜とお菓子のお土産までついて1人たったの500円だったイモ堀り体験よ。ありがとう。

イモはあっという間になくなった

あれだけ心配していたイモの消費問題。焼きイモでも作るかとその方法をググったら、なんとオーブンで簡単に焼きイモができるとのこと。洗ったイモの水分をふき取り、オーブンの天板にそのまま並べる。温度を250度にセットし、焼くこと50分。すると、石焼きイモ並みの美味しい焼きイモのできあがり。

ワタシの意に反して、段ボールの中にゴロゴロあったサツマイモは、焼きイモという姿を手に入れてからというものたちまちにして減っていった。焼きイモを1日3本食べる娘をしり目に、保存の心配など無用だったな・・・と思うワタシなのであった。